地銀や信金、副業を解禁 異分野に人脈拡大

地域金融機関で職員の副業を認める制度を導入する動きが出始めた。多様な働き方を受け入れる仕組みを取り入れ、職場の魅力を高める狙いだ。利益相反などの恐れから、地域金融機関は他業種に比べて副業の解禁に慎重だった。地元の事業者からは、副業人材が新たな担い手になると期待する声もある。

京都北都信用金庫京都府宮津市)は4月、全国の信金で初めて副業を解禁した。対象は勤務期間が3年以上の正社員や嘱託、パートなど約740人。運用基準を設け、試験的に解禁した。10月にも就業規則を変更して本格的な解禁に踏み切る予定だ。

希望者は申請書を提出し、信金から許可を得られれば1週間40時間の範囲内で副業できる。対象の曜日は土日祝日のみで、平日は認めない。労務管理のため毎月、副業で働いた勤務時間や業務内容などの報告を求める。

地盤の京都北部は過疎化と人口減が進んでいる。若手人材の不足は深刻で「地元の事業者から『うちにも信金の職員に副業で来てほしい』との要望が相次ぐなど、反響は大きい」(人事部)。5月には営業担当の男性職員が地元飲食店で副業で働いた。

地方銀行では、東京スター銀行が4月、入社4年目以上の行員を対象に副業を解禁した。既に25人が制度を活用しており、大学講師や管理栄養士、アプリ制作の受注など、異分野で副業している。

日本サッカー協会に登録し、選手の代理人業務を手がける人もいるという。同行は「ビジネスの多様化に対応できる人材の育成につなげたい」(広報室)と説明する。

HR総研が2020年卒予定の学生に「敬遠したい業界」を聞いたところ、「地方銀行・信用金庫」は文系で2位、理系でも3位となった。地域金融機関は長引く低金利などで事業環境が厳しさを増しており、就職活動中の若者から敬遠されつつある。

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一方、労働政策研究・研修機構が18年に公表した調査で、今後5年先を見据えた副業・兼業の意向を労働者に聞いたところ「新しくはじめたい」「機会・時間を増やしたい」が4割弱に上った。副業の解禁で、大学生らが魅力を感じる柔軟な組織をアピールする効果も見込める。

福島が地盤の東邦銀行は6月、パートやアルバイトを含む約3000人の全行員に副業を認めた。「働き方改革」の一環で、地域貢献や行員の特技を生かせる副業を認める。8月以降、セミナー講師など数件の副業を認めた。制度に関心を持つ各地の金融機関から十数件の問い合わせがあったという。