体育どう指導 先生の教科書

大阪府、運動苦手な小学校教員向け 鉄棒やマット、イラスト使い説明

ほとんどの教科を1人が指導する学級担任制が主流の小学校教員向けに、指導方法の指南など支援の動きが広がり始めている。専門性の高い教科の指導に苦手意識を持つ教員は多く、大阪府は体育の授業の進め方を具体的に紹介した"先生の教科書"を作成。この教科書を使った研修会も開いた。指導に当たる教員の不安解消だけでなく、適切な指導による事故防止の効果なども期待されている。

大阪府教育委員会は7月、小学校の教員向けに体育の授業の進め方を分かりやすくまとめた「体育の授業がかわる! 簡単プログラム」と題する冊子を作成した。実際に指導に当たる教員が指導計画を作ったり、指導のコツなどを学習したりするための、いわば先生のための教科書といった内容だ。

冊子は、各学年で行うべき指導の流れを紹介しているほか、鉄棒運動やボール運動など単元ごとに具体的な技や動きをイラストを交えて説明。指導時の大切なポイントも示している。

府教委は冊子を府立小の全教員に配布。現場の教員が実際に授業に活用できるよう、小学校の教員向けに冊子を活用した体育の授業の研修会も開いた。

「カエルやウサギになりきって、手足を使いながら動き回ってみましょう」。大阪府豊中市の市民体育館で8月上旬に開かれた研修会。小学校教員ら約30人が、講師の説明を受けながら動物をまねた動きをしたりマットの上で転がったり、指導のコツを体得しようと体を動かした。

マット運動の研修では、背面に向かって1回転する「後転」の教え方を学んだ。体を前後に転がす「ゆりかご」など、後転につながる基礎的動作をまず経験させ、マットに手を付くタイミングや距離感を養わせるのがポイントという。

冊子を監修した大阪大谷大の三木伸吾准教授(スポーツ運動学)は「体育は国語や算数のように教科書がなく、児童に頭で理解させるだけではなかなか伝わらない」と指導の難しさを指摘。「苦手意識を持つ教員は多いが、冊子と研修を通じて実際の動きを確かめれば、より適切に指導できるようになる」と話す。府教委の担当者は「教員が段階を踏んだ指導をすることで、子どものけがの防止にもつながる」と話す。

プロスポーツ団体が小学校教員をサポートする取り組みもある。日本サッカー協会は2015年から、運動が不得手な小学校教員を対象に、体育の授業ですぐに応用できる指導法の研修会を開催。低学年で学ぶボールゲームから高学年で学ぶサッカーまで、技術向上ではなく体を動かす楽しさを児童に教えることを主眼に、これまでに全国各地で100回以上開いた。

研修会でインストラクターを務めるのは、同協会公認でサッカー経験のある小学校教員だ。新聞紙で作ったボール遊びやサッカーのミニゲームなどを例に、児童の発育過程に合わせた授業の進め方を説明。運動の苦手な児童でも授業に参加しやすくするための工夫やアドバイスを紹介する。

研修会を企画した中山雅雄・学校体育サポートプロジェクトリーダーは「研修を受けた教員からは『指導や授業の進め方に自信を持てるようになった』という声が多く聞かれる」。研修を受けた教員の授業風景を視察したりもしており「運動が得意な子も苦手な子も、生き生きと楽しそうに体育に取り組んでいる様子が印象的だった」と話した。