芝浦工大 IHIプログラム 新たな学びへ高大交流 

明治大、「納得」重視の説明会 東洋大、「伴走型」で個別相談 

多くの企業が内定式を開く10月1日を目前に控え、大学が来春卒業予定の学生向けに就職活動の支援を続けている。人手不足から「売り手優位」の傾向は変わらないが、早まる一方の就活戦線に乗り遅れて内定がゼロの学生や、内定した企業に満足できず進路を迷う学生はまだ多い。各大学の就職課やキャリアセンターの「終盤戦」の取り組みをまとめた。

今年の就活は「スタートが前年に比べ2週間早まった」(明治大学就職キャリア支援部の舟戸一治部長)。選考期間が一段と前倒しされたことで、準備して内定を獲得した学生と、出遅れて苦戦する学生の二極化が目立つという。

大手就職情報会社の調査では、2020年春卒業予定の大学生・大学院生の就職内定率(内々定含む)は8月末で8割強と高い。その一方、内定ゼロの学生や内定を得たものの入社を決めかねている学生が9月以降も就活を続ける割合は3割近くに上る。

就活情報サイト「リクナビ」の運営会社が学生の内定辞退率を予測して外販していた問題で、就活生の間では不安も広がる。公務員試験などを終え、民間企業への就職に切り替えて就活を始める学生もいるため、各大学は「就活リスタート」ととらえ、様々な支援メニューを用意する。

明治大は「学生が納得して就活を終えてほしい」と、「納得就職支援プログラム」を昨年から始めた。今年も6月中旬に開いた「納得就活ガイダンス」に、4年生のうち約100人が参加。今後も学生への個別相談や集団模擬面接会、優良企業セミナー、学内選考会など10を超える支援策や学内行事を順次開く。

理系学部が集まる同大生田キャンパス(川崎市)では、学生が所属する各研究室と連携した支援体制を敷く。「学生が志向する業種にとどまらない、多分野の企業との接点を増やす」(生田キャンパス就職キャリア支援センターの滝晋敏氏)のも狙いの一つだ。

就活支援の終盤では学生一人ひとりをより丁寧にフォローすることが欠かせない。約7000人の4年生を抱える東洋大は、7~8月に3回の求人説明会を開き、およそ80人の学生に個別相談を実施した。就職・キャリア支援部の石井健一部長は「9月からは内定がゼロの学生、公務員志望を変えた学生、就活が遅れがちな運動部学生に対する個別の『伴走型支援』をおこなう」と話す。

約3000人の4年生がいる九州産業大も、「就活に消極的な学生個人に連絡を取って面談する」(キャリア支援センター)。内定を得ていない学生を集めて、企業からの求人票を紹介するなどのバックアップ講座を設けるほか、学内で30社程度が参加する企業説明会・選考会を毎月開く。

3月に会社説明会を始め、6月に面接解禁という現在の経団連による就活ルールが適用されるのは、20年春入社予定の4年生までだ。21年春入社予定の現3年生は政府が現行に沿った日程を組む方針に変わる。大学側は「具体的にどう変化するのか予測できない」としながらも、就活のスタートは来年以降に一段と早まるとみる向きが多い。

約40人のスタッフが支援する京都産業大は、3年生の就職登録時(毎年5月)に、就職希望の学生約2900人とスタッフが1対1の面談を実施する。「学生が抱える不安や将来の目標などを丁寧に聞くことが適正なサポートにつながる」(進路・就職支援センター)という。こうした就活支援をいかに充実させるかは、大学の競争力にもかかわっている。

(松藤政司 氏)

働く意義 考える時間を 駒沢大・山口教授に聞く

社会情勢などの面から就活を分析する駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部長の山口浩教授に聞いた。

9月に入っても内定がない、または内定を得ても進路を迷っている学生は多い。親など保護者にとっても心配な時期だが、50歳前後の親世代の就職の知識はもはや通用しない。IT(情報技術)の進展で成長性の高い企業の顔ぶれは大きく変化しており、10~20年後にはまた変わるという広い視野が必要だ。

就活に出遅れても人生が失敗するわけではない。準備良く進めて本命の企業に入社しても、やる仕事の内容が自分に合わず、苦しむ場合もある。保護者は学生に大きな視野で人生を見る目をアドバイスしてほしい。

早まる一方の就活が学生から社会や人生を考える時間を奪うとともに、皆が横並びに行動し、失敗をとても怖がる価値観を増幅させている。働く意義や人生設計を学生が一生懸命に考える時間をつくり、それを許容する社会にならないと日本の先行きは暗い。大学と企業の双方が改革を進め、「学生時代に様々な経験を積み、卒業した後に就活して会社に入れる」環境などの整備を進める必要がある。