会員制スポーツクラブ 「課外活動」仲間探そう

釣りや卓球、定年後のつながり築く

地域とのつながりが薄いといわれる中高年男性にとって、会員制のスポーツクラブが出会いの場になりつつある。クラブ内にできた趣味のサークルに参加し、「課外活動」にいそしむ人は多い。クラブ側も会員サービスの一環として、仲間づくりを後押しする。体を鍛えながら、他人と触れ合うことで精神的な満足感を得られるのが魅力だ。

ある日曜の朝、神奈川県大磯町の大磯港で男女5人が釣りに興じていた。共通点は、スポーツクラブ「健康習慣クラブALIVE湘南平塚」(同県平塚市)の会員であること。釣り好きの会員や指導員が昨秋につくった釣りサークルの仲間だ。メンバーは50代以上を中心に10人ほどで、毎月近くの釣り場に集まる。

「今日は当たりが来ませんね」。そうぼやくのは会社員の安部哲也さん(56)。2年前からALIVEに通っており、釣りサークルの話を聞いて飛び込んだ。もともと釣りが好きだったが、仕事が忙しくて足が遠のいていたという。

団体職員の佐藤茂美さん(62)は釣りの初心者だったが面白さにはまった。「定年したら職場の人脈はなくなるが、釣り仲間とは長くつきあえそう」と2人は口をそろえる。

「NAスポーツクラブA-1笹塚店」(東京・渋谷)のスカッシュサークルは、スカッシュのスクールを受講した会員の有志が毎週水曜日に集まり、コートで球を追いかける。

その一人、青木甚一さん(76)は7年前に妻を亡くし、現在独り暮らし。スカッシュサークルで他の仲間と話すのが楽しみだ。「一人だと寂しさを感じるときもあるが、仲間と話すと気が紛れる」と話す。

これらのサークルは自然発生的に生まれたが、スポーツクラブ主導でサークルを設けるところもある。

東急スポーツオアシスは全国34店舗でサークルを組織する。会員同士で交流を深められれば満足感が高まり、会員としての定着率も高まるとみている。

「オアシスもりのみやキューズモール」(大阪市)に通う自営業の野間禎紀さん(60)は、ハイキング、ランニング、フットサルのサークルに参加する。ハイキングは近郊のコースを歩き、ランニングは近くの大阪城公園周辺を走る。フットサルはコートを借りて、自分より若い会員たちと一緒に汗を流す。

知らない人の輪にいきなり飛び込むのは抵抗がある。その点、クラブがサークルを用意してくれるので入りやすく、顔なじみの会員もいて安心だ。野間さんは「自分に居場所を与えてくれた」と感謝する。

最初はクラブ主導のサークルに参加し、親しくなった会員同士が自主的に活動する例も。「レアレア東戸塚店」(横浜市)の会員、大橋秀夫さん(68)はレアレアで知り合った会員とゴルフや卓球を楽しむ。

ゴルフはレアレア主催のコンペが年2回あるが、それに飽き足らない会員が毎月集まって腕を競う。卓球もレアレアにある台で遊んでいたが、もっと上達したくなったため、ほかの会員とともに地区センターの台を借りて練習に励み、市民大会に出場するまでになった。「仲間と競い合うので張り合いができ、練習にも熱が入る」と大橋さん。

男性は定年後、職場の仲間との付き合いが薄れ、交流の機会を失いがち。そういう人にとってスポーツクラブは身近な存在であり、会員同士が集うサークルは地域の人たちと触れ合える格好の場になっている。

(高橋敬治 氏)