格差是正で「人件費増」46% 同一労働同一賃金導入で 社長100人アンケート

正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を禁じた「同一労働同一賃金」の適用を半年後に控え、企業が対応を急いでいる。「社長100人アンケート」で制度導入による人件費負担について聞いたところ、「増える」「どちらかといえば増える」と回答した企業が46.9%に上った。制度の整備などの対応が「完了した」企業は39.3%にとどまり、複雑な制度設計を前に企業は対応に苦慮している。

同一労働同一賃金は今年4月に施行された働き方改革関連法の目玉の一つ。企業への影響力の大きさから導入は施行から1年後の2020年4月に予定されている。正社員と非正規社員の賃金の差が小さくなることで、消費への効果なども期待されている。

制度導入による人件費負担について「減る」「どちらかといえば減る」と答えた企業はゼロで、「どちらともいえない」との回答が51%を占めた。企業は影響を注視しているもようだ。

調査では人件費増加の実額についても聞いた。非正規社員が多い金融や小売り・サービスなどで負担増が目立った。ある金融大手は年24億円増、百貨店大手も4億~5億円増えると見込む。

制度整備の対応を終えた企業に対してどのように改定したかも聞いた。「基本給・給与」を見直した企業は一部だった。非正規社員に賞与支給を始める企業は10.5%(6社)。非正規社員の基本給を正社員並みに引き上げる企業は7.0%(4社)だった。

一方で「手当・福利厚生」を改定する企業が多く、なかでも「慶弔休暇」の適用が24.6%と最も多かった。次いで「時間外・深夜・休日手当の割増率」が17.5%となった。

先行して導入した企業もある。日本通運は4月に全国の支店で働く非正規社員6000人の賃金を正社員の水準まで引き上げた。給与面だけでなく、慶弔休暇など待遇面の制度も整備した。

クレジットカード大手のクレディセゾンも17年にパートタイマーを含む全社員を正社員にし、待遇改善に取り組んでいる。製造業ではブリヂストンが18年に国内工場勤務の契約社員に正社員と同水準の夜勤の交代勤務手当を支給した。各社とも深刻な人手不足対策の一環として、非正規社員の待遇格差改善で人手を確保する考えだ。

同一労働同一賃金派遣社員への導入に関しては、企業がコスト増を敬遠して採用を絞るといった影響を懸念する声もあった。調査で制度導入後の派遣社員の起用について聞いたところ「減らす」と回答した企業は3.4%(5社)にとどまり、「現在と同程度」が59.3%と多数を占めた。

特に製造現場やエンジニアなど人手不足が深刻になるなか、派遣社員は企業にとって欠かせない戦力となっている。各社にとって制度対応による経営負担は避けられない情勢だ。企業はさらなる経営効率化の取り組みが必要となる。