笑顔は強力な武器

先月、全英女子オープンで渋野日向子選手が優勝したときに、「スマイルシンデレラ」と表現された試合中の笑顔の爽やかさが話題になった。

笑顔は心の健康

42年ぶりの日本選手のメジャー優勝というプレッシャーがかかる場面で、渋野選手が意識的に笑顔を作って対処しようとしていたのかどうか、テレビを見ていただけの私にはわからない。ただ、テレビに映る笑顔が自然なので、意識していないのだろうと勝手に考えた。

渋野選手がそのことを意識していたかどうかにかかわらず、笑顔がプレッシャーを和らげる強力な武器であることは科学的にも裏づけられている。アウトサイドイン(外から内へ)という言葉が使われるが、笑顔になるとこころが明るくなるし、背中をスッと伸ばして姿勢を正すと気持ちがしっかりしてくる。

表情や姿勢といった自分の外側(アウトサイド)の状態が、こころや気持ちといった自分の内側(インサイド)の状態に影響するからだ。逆に、悲しい顔をしたり、背中を丸めて小さくなったりすると、気持ちが落ち込んでこころの元気がなくなる。

笑顔の効用はそれだけではない。話しているときに、一人が笑顔になると、まわりにいる人の表情は自然に和らぐ。逆に、一方が怒った表情になると、相手の表情も厳しくなる。

全英女子オープンで聴衆が盛んに笑顔で渋野選手を応援するようになったのは、渋野選手の笑顔が聴衆に伝染していったからだろう。その聴衆の笑顔が渋野選手に伝わって、それがまた力になったように思う。「笑う門には福来る」現象が起きていたのだと感じた。

認知行動療法研修開発センター 大野裕氏)