週休3日どうだった? 今夏、2社が挑戦

自分高める経験積む 効率的な働き方意識

働き方改革が叫ばれる割に、正社員の労働時間はほとんど減っていない。会社は残業削減を訴えるが、職場の体質は簡単には変わらない。大胆な手はないものか? 今夏、週休3日を実施した企業がある。暮らしや働き方はどうなるのか。2社の挑戦を追った。

「増えた休みで家業の販売サイトを作りました」。日本マイクロソフトの佐藤沙里那さん(27)は笑う。実家は千葉県船橋市豆腐店。味に自信はあるが、規模が大きな豆腐メーカーに押され苦戦していた。

同社は8月にすべての金曜を休業日とした。「せっかくなら有意義に使いたい」。佐藤さんは実家のテコ入れをひらめいた。文系出身で営業職。プログラムを組んだことはない。同僚に助けてもらいゼロから立ち上げた。「店を継ぐ気はないが、いずれ起業はしてみたい。ちょうど良い予行練習になった」と喜ぶ。

「短い時間で働き、よく休み、よく学ぶ」。週休3日のキャッチフレーズだ。家族旅行や地域活動、自己研さん……。最高11万円分の活動費補助やボランティア仲介も行った。「いつもと違う経験で自分を高めれば、仕事への創造性につながる」と業務執行役員の岡部一志さんは説明する。

精米機メーカー、サタケ(広島県東広島市)は2017年から夏限定(6月下旬~8月上旬)で週休3日を試行している。「昔より夏が暑い。効率悪いし休みにするか?」。きっかけは役員のつぶやきだ。

初年度は月曜、翌18年は金曜を休みにした。今年は水曜に社員が半分ずつ隔週で休む。平日に一斉に休むと、顧客に迷惑が及ぶ。「半分ずつ休めば社外への影響も軽微。来年以降は今夏のスタイルを踏襲する」と人事担当取締役の木谷博郁さんは話す。

通院したり役所に出掛けたり、平日にしかできない用事を水曜にすます。思惑通り、体への負担も軽減できた。何よりの効用は月・火、木・金に有給休暇を取れば長く休めること。お盆休みのほかに第2、第3の夏休みが取れるのだ。

増田直子さん(61)は7月上旬に1週間休み、関東に住む娘の育児応援に出向いた。上が3歳、下の子は4月に生まれたばかり。いつもは娘の夫が協力しているが海外出張が入り、"ワンオペ育児"になりかけたためだ。「遊び相手をして楽しく過ごせた」と話す。

週休3日に挑戦する2社。休みは増えたが社員の業務は減らしていない。給与も減額なし。それでも残業は増えず、売り上げ目標も達成した。1日多く休むためにどう効率よく働くか。週休3日の実現は実は結構ハードルが高い。安易にまねするのは危険だ。

日本マイクロソフトは会議を「30分まで」「人数は多くても5人」と定めた。社員も簡単な打ち合わせはネットですますよう心がけた。制約があるなかで、優先順位が高い仕事からこなす習慣が根付いた。

サタケは午後1時10分~午後3時15分を「コンセントレーションタイム」に設定。会議と電話は禁止だ。外部からの電話は管理職が取る。緊急時を除き、管理職が用件を聞く。木谷さんは「やらなくて良い仕事はやらないようになった。会社全体の業務効率化も進んだ」と強調する。

 

18年の一般労働者(パート除く)平均年間総実労働は2010時間。ここ30年ほぼ横ばいだ。労働時間を減らしてもアウトプットは減らない――2社の挑戦は、働く側と会社の双方に利益を及ぼす道があることを示してくれる。

編集委員 石塚由紀夫氏)